舌側矯正の治療方法や料金の傾向について丁寧にご説明します
舌側矯正とは?
舌側矯正(リンガル矯正)は、歯の裏側(舌側)に矯正装置を装着して歯並びを整える治療方法です。通常のワイヤー矯正は歯の表側に装置をつけるため目立ちやすいですが、舌側矯正は外見からほとんど見えないため、特に見た目を気にされる方に人気があります。
舌側矯正の主な特徴:
- 目立たない:装置が歯の裏側にあるため、周囲に気づかれにくい。
- 矯正治療中の審美性を重視できる:接客業や営業職など、人と接する機会が多い方にも適している。
- 表側矯正と同様の効果が得られる:歯を動かす力の方向や仕組みは基本的に表側矯正と同じ。
ただし、舌側矯正は装置の構造が複雑で、患者様の舌に触れるため、治療初期には違和感があることが多く、慣れるまでに時間がかかる場合があります。
舌側矯正の治療方法
舌側矯正には、主に以下の治療方法があります。
1. フルリンガル矯正(上下ともに舌側)
上下の歯の裏側にブラケットを装着する方法です。完全に装置が見えなくなるため、審美性を重視する方に最適です。ただし、装置の違和感が大きくなる傾向があります。
メリット:
- 完全に装置が見えない
- 表側矯正と同じく幅広い症例に対応可能
デメリット:
- 違和感が大きい(舌に装置が当たる)
- 費用が高め
- 治療期間が表側矯正より若干長くなる場合がある
2. ハーフリンガル矯正(上顎は舌側、下顎は表側)
上の歯は舌側に、下の歯は表側に装置をつける方法です。見た目の影響を抑えつつ、舌の違和感を軽減できるのが特徴です。
メリット:
- 上の歯の装置が見えない
- 舌への違和感が軽減される
- フルリンガル矯正よりも費用が抑えられる
デメリット:
- 下の歯の表側には装置が見える
- 適応できる症例が限られることがある
3. 舌側矯正 × カスタムメイド装置
近年では、患者様一人ひとりの歯の形状に合わせて作られるオーダーメイドのブラケット(舌側装置)が増えています。代表的なものとして、以下のようなシステムがあります。
- インコグニート(Incognito)
- CAD/CAM技術を用いてオーダーメイドで作製
- 金合金製のため、耐久性が高く、アレルギーのリスクが低い
- WINシステム
- インコグニートよりも比較的コストが抑えられる
- 高精度なカスタム設計が可能
- STbリンガルシステム
- 小型で違和感が少なく、発音の影響も軽減できる
- 費用が比較的リーズナブル
このように、舌側矯正はカスタムメイドの装置が主流になりつつあり、患者様の負担を軽減しながら高精度な治療を提供できるようになっています。
舌側矯正の料金の傾向
舌側矯正の費用は、一般的な表側矯正と比べると高額になる傾向があります。以下はおおよその費用目安です。
治療方法 | 費用の目安(総額) |
---|---|
表側矯正 | 約70~120万円 |
ハーフリンガル矯正 | 約100~150万円 |
フルリンガル矯正 | 約130~180万円 |
料金が高くなる理由:
- 装置がカスタムメイドで製作されるため
- 技術的な難易度が高いため
- 矯正専門医の技術が必要なため
また、治療費には以下のような追加費用が発生することがあります。
- 初診相談料(無料~5,000円)
- 精密検査・診断料(3~5万円)
- 調整料(月額5,000~1万円)
- 保定装置(リテーナー)費用(5~10万円)
舌側矯正を検討する際のポイント
1. 矯正専門のクリニックを選ぶ 舌側矯正は高度な技術を要するため、経験豊富な矯正歯科を選ぶことが重要です。症例数や治療実績を確認するとよいでしょう。
2. 治療期間を確認する 表側矯正と比べて治療期間が長くなることがあります。一般的には約2~3年の期間が必要です。
3. 違和感・発音の影響を考慮する 装置が舌に当たるため、最初の数週間は話しづらさを感じることがあります。ただし、多くの方が1~2ヶ月程度で慣れます。
4. 支払い方法の確認 高額な治療費となるため、多くのクリニックでは分割払いやデンタルローンを利用できます。月々の支払い負担を抑える方法を確認しておくとよいでしょう。
まとめ
舌側矯正は、見た目を気にする方にとって非常に魅力的な治療方法ですが、費用が高く、装置の違和感がある点を理解しておくことが重要です。近年では、オーダーメイドの装置や負担の少ないシステムが登場し、より快適に治療を受けられる環境が整っています。
治療を検討する際は、費用や治療期間、クリニックの実績を確認し、ご自身に合った最適な方法を選択することが大切です。